GLP1ダイエットで 胆石が心配な方へ

一般に「減量する、体重が減る、痩せる、と胆石が起こりやすいこと」は、広く知られています。ですからダイエットを推奨する以上、専門医であれば、この事実を同意書で説明し事前に承諾をえておく必要があると考えます。

 

GLP1ダイエットの場合には、この事実に対し2018年 Juneに論文が発表されました。

 

Effect of liraglutide on gallbladder emptying: a randomized, placebo-controlled trial in adults with overweight or obesity. Diabetes Obes Metabolism 2018: 20: 2557-2564.
に解説があります。

 

それによると、GLP1ダイエットで体重が減少しつづけ56週目まで経過観察できた患者での胆石発生の確率は2.5%。これに対してプラセボ群では(つまり、薬を使わない普通のダイエットでは)1.0%です。約1.5%、胆石になる確率が高まります。その傾向が強いのは平均より、さらに体重減少が大きい人、に認められます。


つまり、ダイエットが特に成功した人、減量が成功した人に、その傾向が強く認められました。

 

ですが、160週まで観察すると、つまり3年間の経過観察では、体重が減少した後でも胆石が起こる確率は高いままの状態が継続します。その理由を調査したのが上記の論文です。そのた単に体重減少だけでなく、GLP1自体にも、なんらかの胆嚢に対しての作用があるのでは?と考えて学者たちは研究を継続したわけです。

 

GLP1は胃の排泄速度を低下させることは既知の事実です。食物が、ゆっくりと胃から小腸におりてきます。すると、GLP1は、それにあわせるかのように胆嚢自体の収縮も、ゆっくりにさせるようです。CCK(cholecystokinin)を用いて胆嚢の収縮を観察した結果、GLP1を高濃度にしておくと胆嚢の収縮速度は、健常人と比較して約40%遅くなります。特に、その研究はエクセナチドを用いて測定されて知られていました。さらに、慢性的にGLP1を高めておくと胆嚢が収縮しずらくなり胆砂ができやすくなり胆石を作りやすくしてしまうようです。その結果、胆石発作などが増えます。

 

ただし、この作用は、サクセンダやビクトーザ(Liraglutide) だけではなく、エクセナチドや、Abiglutideなどの他のGLP-1受容体作動薬においても同様に認めることもしられています。

 

胃から食物が、ゆっくり落ちてくるので胆嚢の収縮も、ゆっくりになるのは、実は生体機能としては合目的です。栄養素を吸収しやすくします。その意味では健康的な代償機能です。ですが、もともと胆石発作が起こりやすい素因をもっている人にとっては問題です。

 

さらに、女性ホルモンや加齢も胆嚢の収縮に影響を与えます。

 

ただしGLP1を用いないダイエットにおいても、胆嚢収縮が低下することも知られております。胃を切除して、急激に体重が減った場合でも起こりやすいのは、有名です。

 

食事で胆嚢の収縮に影響を及ぼすのは脂が多い食材を食べた時です。ですから、GLP1ダイエットでは、できるだけ油脂系の食事をとらないほうが望ましいのは合目的でもあります。

 

なお、上記の論文では胆石、以外には特に問題となる障害はでていないことも強調されておりました。