「サクセンダ」原著論文の抄録を紹介

海外の一流医学雑誌の臨床成績をもとに治療を組み立てております。その主要論文(N Eng J Med、2015からの引用改変。)の要約を、お読みになりたい方は、このブログを、一度は、お読みください。ちなみに、内容は医師レベル向けです。

 

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肥満は、他に重篤な結果に繋がる慢性疾患です。2型糖尿病においては、近年の人口増加は肥満の増加によって説明できるものが多いでしょう。そうした中で、5から10%の体重減少ができるということ、痩せることは、関連する合併症を減らし、生活の質を大きくたかめるはずです。

しかし、減量は生活習慣への介入だけでは維持できにくいという問題点があります。 「高用量GLP1ダイエット治療」、GLP1受容体作動薬、はその皮下注射によって、体重減少をもたらすメリットがあることが知られてきた薬剤です。

しかし、用量依存性に「高用量GLP1ダイエット治療」は体重を減らすということは以前より知られていたことでした。これは、摂取エネルギーが減るためであり、消費エネルギーが増えるためでもない、ということも知られていました。

方法: 対象は18歳以上で体重、BMIが安定している事が条件とされました。また、 2型糖尿病をもっておらず、BMI(Body mass index)が少なくとも30以上か、あるいは、BMIが27であって、高脂血症か高血圧に対して治療を受けていても、受けていなくてもよいという条件をもつ3231名の患者さんに対して、56週間、盲検試験を受けてもらいました。

この試験は、欧州、北米、南米、アジア、アフリカ、そしてオーストラリアの27国で実施されました。 対象患者は ランダマイズ化は、実薬群が2,プラセボ群が1,の割合に割り付けられた。スポンサーの支援をうけて、電話か、web経由で募集をかけ、集められました。

その結果、「高用量GLP1ダイエット治療」の皮下注射をうける実薬群は2487名の患者、プラセボ群は1244名の患者に、ランダムに割り付けを行った。両群とも、生活習慣を改善する事においては、事前に生活習慣改善のためのカウンセリングをうけることとしました。除外基準は、1型糖尿病、2型糖尿病、体重の増減に影響をおよぼしうる薬剤を服用している場合、膵炎の既往がある人、精神障害がある人、たとえば、うつなどの既往がある人、などが除外されました。

また、56週間の観察期間終了後は実薬群は、1対1の比率で、実薬を継続する群と、プラセボに切り替えられる群にわけられ、さらに12週間、観察されました。これは、薬を止めたことの影響が、どれくらい維持できるか、とか、実薬を中止することにより、なんらかの安全に問題があることがおきないかを、チェックするためでした。

患者は、8週間目までは2週間ごとに、評価されていきました。つまり、2週目、4週目、6週目、8週目と4回、評価されたことになります。その後は、4週間ごとに経過観察され、それが44週目まで継続されました。

そして、最後に50週目、56週目、60週目、64週目、68週目、70週目まで経過観察は継続されました。

全ての対象者は月1回、カウンセリングをうけることも義務づけられました。途中で脱落した対象者については、56週目で再度、体重や副作用などについての再チェックをうけました。途中で高脂血症薬剤、降圧剤などが変更された対象者の比率も検討されました。

プライマリーエンドポイントは、体重の変化と、当初の体重からみて最低5%の体重減少をなしえた比率と10%の体重減少をなしえた比率を調査することとした。特に注意をはらわれたのは、副作用についてです。肥満自体に起因するものなのか、あるいは、薬剤に起因するものか、は慎重に見極められました。

結果: 全患者は3731名。ランダマイズ化されて、2487名は生活習慣への介入にくわえて、「高用量GLP1ダイエット治療」が最高用量3.0mgまで投与されました。1244名は生活習慣への介入だけで経過観察されました。プラセボは注射してます。 RCTを始める前においては(baseline)では、実薬群もプラセボ群も、特性は同じでした。 患者の年齢は45±12歳、平均体重は106±21.4kg, そして、平均BMIは、38.3±6.4であった。78.5%が女性で、61.2%が糖尿病発症前の状態(いわゆる境界型糖尿病)でした。 56週間後、最終的に、56週目まで遂行できた人数は、「高用量GLP1ダイエット治療」実薬群で1789名(71.9%)、それに対し、プラセボ群では801名(64.4%)でした。

副作用によって途中脱落した人は、実薬群で9.9%「2487名中、246名」であり、プラセボ群の3.8%{1244名中、47名}と比較すると、実薬群のほうが多かったでした。効果が認められないから、という理由で途中脱落した人は、実薬群で0.9%(2487名中、23名)であり、プラセボ群で2.9%(1244名中、36名)と、プラセボ群のほうが多かったでした。

さらに、コンセントを得られないという理由から脱落したのは、実薬群で10.6%、プラセボ群で20.0%と、プラセボ群のほうが多かったようでした。

体重減少について 実薬群は8.4±7.3kgの平均体重が減少していた。%でいうと、8.0±6.7%の体重減少、痩身を認めました。これに対して、プラセボ群では、2.8±6.5kg、%でいうと、2.6±5.7%の体重減少、痩身を認めていました。

5%以上の体重減少ができたのは、実薬群では63.2%であり、プラセボ群では27.1%であったので有意差があった。10%以上の体重減少を実現しえたのは、実薬群で33.1%、プラセボ群では、10.6%でした。

全体でみると、92%の実薬群の患者で体重が減っていました。

これに対して、生活習慣の介入(食事療法指導と運動療法指導だけ)で経過観察していた群では、65%の人で体重が減っていました。

さらに、実薬群のほうが、腹囲やBMIにおいても、より減量効果が大きく認められていました。

血糖コントロールについて 実薬群では、プラセボ群と比べて、明らかな、HbA1c、空腹時血糖値、空腹時インスリンレベルの改善が認められました。

ブドウ糖負荷試験にても、それは改善を認めておりました。そして、境界型糖尿病をもつ対象者は、もたない対象者より、より耐糖能の改善が大きく認められました。

インスリン抵抗性の指標やβ細胞の機能を測定する指標にも改善を認めております。 有病率の存在は、本臨床試験56週を追えた段階で、実薬群のほうが、プラセボ群よりも低くなり、とりわけ、糖尿病に進展した比率は、実薬群のほうが、プラセボ群よりも低くなりました。これは、糖尿病への発症進展を抑制できたという意味において、上記の数値の改善などからも容易に推測できるものです。

心臓関連の指標 最高血圧、最低血圧が実薬群では低下していました。他、脂質関連指標、高感度CRP、アディポネクチンなども、実薬群では、プラセボ群より、大きく改善しておりました。

生活の質 実薬群では、総合的身体活動スコア、心理的スコア、活動に関するスコアなどにおいて、より望ましい結果が得られました。総合的なスコアとして、治療による負荷を配慮した評価においても、リラグリチド実薬群ではプラセボ群より、高い評価を得てました。

ただし、副作用についての評価は、実薬群のほうが、当然、副作用がでやすいため、悪い評価となっていました。 副作用 最も頻繁に認められたのは、胃腸障害でした。 最も頻繁に報告された副作用は軽度あるいは中程度の悪心や下痢でした。重篤なイベントが起こったのは、実薬群では、6.2%、プラセボ群では5%でした。

結論 この臨床研究においては、食事療法と運動療法をみっちり行っている患者さんに、さらなる追加療法として、「高用量GLP1ダイエット治療」を追加した研究であります。その結果、体重減少は明らかに認められ、さらに関連するメタボ関係のコントロールにおいても成功しました。