肥満:不妊治療、裏付け論文記述集。ちと難しいかも。

先の記事は、シンプルに書きすぎました。一応、参考となる論文も紹介しておきます。

 

Best matches for obesity infertility:
Obesity, male infertility, and the sperm epigenome.
Craig JR et al. Fertil Steril. (2017)

 

Obesity and female infertility: potential mediators of obesity's impact.
Broughton DE et al. Fertil Steril. (2017)

 

最近の論文では、男性でも、女性でも、肥満と不妊との関係は、注目されています。

 

男性の場合には、「精子の生産能力」に対する影響
infertility by means of endocrine abnormalities, associated comorbidities, and direct effects on the fidelity and throughput of spermatogenesis

 

女性の場合には、アメリカでは、20%が肥満による不妊だと認定されているようです。
20% of American women of reproductive age.

 

女性の場合には、中枢性経路を介した卵巣機能不全の他、
Obese women are more likely to have ovulatory dysfunction due to dysregulation of the hypothalamic-pituitary-ovarian axis.

 

胎児への影響、ミトコンドリア機能の影響。ステロイド産生などが「胎児」事態に影響を及ぼすとあります。(ちなみに、ミトコンドリアは私の専門分野でもあります。)
Obesity appears to affect the oocyte and the preimplantation embryo, with disrupted meiotic spindle formation and mitochondrial dynamics. Excess free fatty acids may have a toxic effect in reproductive tissues, leading to cellular damage and a chronic low-grade inflammatory state. Altered levels of adipokines, such as leptin, in the obese state can affect steroidogenesis and directly affect the developing embryo.

 

私のクリニックでも、糖尿病と肥満があり、GLP1受容体作動薬、つまり、GLP1ダイエットを駆使して体重が、−10kg以上も落ちて、ようやく初めての出産に成功し、子宝に恵まれたという患者さんが、数名、おられます。先の話は、その1例の逸話です。

 

ただし、ここからが重要です。

 

ある施設の糖尿病専門医に紹介すると、「なんで、こんな治療をうけていたのですか?」と非難の罵声を浴びせる糖尿病専門医もいたとのことでした。しかし同じ病院の中では、婦人科専門医からは、「よく糖尿病の名医と知り合って、不妊を解消しましたね」と、褒められたという患者さんも、おられました。意見は、まっぷたつだったそうです。

 

妊婦に対しては、GLP1治療は「治験をしていない」という理由から、処方してはいけないのですが、妊婦になる前なら、処方はしてよく、ぎりぎり「着床前」であれば、ひとつの不妊治療として、これから認知されるべきではないかと考えます。あくまで、私見です。エビデンスはありません。

 

もちろん私の外来で子供ができた女性の子供さんは、すこすこ、育っており、全く問題はないようです。

 

上記の論文には、これからは、泌尿器科、婦人科、内分泌内科などでも、こうした新しい発見を、蓄積していかなくてはいけないだろう、という結論でしめられています。

 

ただし、本当の医療分野では、このように解釈します。


こういう表現があるということは、まだ、ちっとも、現状では、そういう認識がないらしい、ということの、逆証明になってます。と考えるのです。

Reproductive urologists and endocrinologists must learn to assimilate these new findings to better counsel men about the importance of paternal preconception health, a topic recently being championed by the Centers for Disease Control and Prevention.
このとおり、、です。

 

さて、、

 

慶應大学病院は、私が学生時代から「不妊治療」では有名な病院でした。その卒業生である、私が、この議論をするには、世間的には、かまわないだろう、と思います。同級生の中には、不妊治療の名医がおります。一度、彼とも、相談してみたいと思っています。

 

論文は、ダウンロード可能のようです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3739371/pdf/aja201038a.pdf